海原雄山解剖学 @


 

皆さんは、美味しんぼというマンガをご存知だろうか?

80年代前半に開始されたこの漫画は、当時のいわゆる『バブル』経済の波にのり、

グルメブームを巻き起こす一翼を担ったと、筆者は勝手に思っている。

 

現在も80巻近くまで単行本が刊行されている長寿マンガで、

実際スピリッツ紙上で連載されているものを見た事ある方も多いかも知れない。

 

が、

 

ここ数年、いやさ平成に入ってからの美味しんぼは、「本当の美味しんぼ」ではない。

彼等は戦うためのを失ってしまっているのである!

アア!あの頃の美味しんぼはギラギラしていた!

嘘だと思うなら、1−5巻を読んでみて!ギラギラシテルヨ!

フォアグラより美味しいアンキモ食べたいヨ!

 

ってわけで、おいしんぼを紹介しようかと。

今回は雄山編です。

 

 

 

 

●大まかなストーリー●

 

舞台は東西新聞社から始まった。

新聞社100周年記念と銘打って、古今東西和洋を問わずに美食の粋を極めたメニュー、

『究極のメニュー』を作る話がもちあがる。

 

『担当の者を決めるため、テストを行う!』

 

だが、そこは100周年記念。生半可な仕事ではない。

社主自らが豆腐と水の試験を行い、それに合格したものを担当に選んだ。

が、そこで選ばれたのは、グータラ社員・山岡士郎と、新人・栗田ゆうこだった。

 

余談だけど、この頃の山岡さんは「近寄るもの全てを傷つけるぜ!」

ってな感じの少年ナイフっていうか飢えた狼・・・・・

というよりも、本当の厄介者だったので、

試験をパスするも、究極のメニュー担当を快諾しなかったんだ。

まあ、試験の備考欄で『豆腐の風味の違い』を説明するのに、

 

『ワインと豆腐には旅をさせちゃあいけない。』

 

と、わけのわからないことを言ってのけるのはカッコよすぎ

まさにロックの魂!(意味不明)

 

もし、俺が周りにいたら

『山岡さん、そんな意味不明な事言ってないで・・・・・・』とか、思わず言いそうだ。

 

んで、よく考えて見ると、こんな彼を担当に選んだ大原社主は、かなりの大物だ!

 

 

 

ともあれ、普段の仕事はグータラだが、

食べ物のこととなると副総理まで動かす山岡と、

初めは可愛いかったのに……

と、なぜか遠い目をされる栗田さんの二人で、究極のメニューを作ることになった。

 

ストーリーの基本的な部分は、色々起きるトラブルを、オイシイ料理で解決!

っていう、1話完結のドラえもんパターン。

また、前半は山岡士郎自らが事件の火種になって、

難癖つけた相手をバッサバッサと袈裟斬りにして行くという展開が、特にアツイ!

 

また、そこに折り込まれる、父・海原雄山との確執。

オイシイ料理を食べるために大暴れするこの親子が、

また実に色々な意味でオモシロイ!!

と、他にもまだ色々書きたいことがありますが、そこら辺は後述ということで。

 

・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

 

80巻を越えた今、なんでこのマンガが、

変なフェミニズムと国際化とかいう言葉が出て来るマンガになったのか、謎である。

 

 

 

●海原雄山解剖学●

 

海原雄山。

本来、美味しんぼ特集なんだから、主人公の山岡士郎から特集するのが筋だけど、

俺、雄山好きだから彼の特集からやります。

ええ、異論は無いと思います。

 

今回は、雄山解剖学とか銘打ってるので、あの魅力いっぱいのキャラはいかにして魅力的なのか、

ストーリーをかいつまんで紹介しつつ、分析してみたい。

んでは、はじめましょー。

 

 

 =雄山登場=

 

海原雄山、年齢はわからんが、山岡士郎の父ということで、60歳は行ってそうである。

類稀な感性を持ち、彼の作った皿は、ひとつウン千万もするほどと言われる陶芸家であり、美術家。

いわゆる総合的な芸術を追及するっていうヤツですな。

『美食も芸術の一つ』という無茶な観点から、美食倶楽部を主宰し、

そちらの方面でも強い影響力を持ってます。

 

『美食倶楽部』・・・・・はじめて聞いたって人はいないと思うけど、

あまりにも良い響きだよね!!俺も入りてえ!

でも、順番待ちが多くって、会員になるのに何年もま待たされるほどなのです。

 

 

さて、そんな雄山が、主人公・山岡士郎のいる東西新聞社に赴いた。

この貫禄!!ただものではないのは確実。

東西新聞に、勘当したはずの息子がいると聞き、確認しに来たのは、1巻は『油の音』。

 

「間違いない!私の息子はそこにいる!」

 

大声をあげて新聞社に入ってきたのはいいけれど、

もちろん雄山なので、アポなどは一切とってません。

海原雄山は、基本的に豪快です。(←ポイント)

 

んで、山岡を見るや否や、悪態をつくわ、究極のメニューの事を聞いては

『士郎が鋭敏な味覚を持っているだと??

 わあっはっはっはっは!』

と、大笑い。

出て来るなり読者の心を捉えて話さない横暴っぷりを披露してくれます。

 

だけど、こんなのは雄山にとっては軽いジャブ。

『士郎…天ぷらの味がわかるか・・??』

なんでいきなり天ぷらの話になるのか??

彼の思考回路をたどってちょっと見てみたいのですが、

そんなこんなで、天ぷら勝負の約束まで取り付けた雄山。

 

『よろしい、どこか適当な天ぷら屋でも借りきってくれたまえ。

 この男の味覚を試してやろう。』

 

と、そこら辺にいた谷村部長に店を借りさせます。

海原雄山の辞書に、「自分でやる」という言葉は存在しません。

 

 

ちなみに、初登場時のやり取りでは、

久々に親子が出会ったからか、山岡さんが実にアグレッシブ。

ことあるごとに父・雄山に突っかかって行きます。

雄山が帰った後も、『クソッ!』とかいって、

関係無い会社の椅子とか倒しまくりで、実に厄介です。

 

んで、この回が大好きな、ガルゾ一の美味しんぼフリーク・サワダは、

こんな画像↓をメールで送ってきて、

『美味しんぼで1番動きのあるコマだ!』 とか絶賛していた。

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか??

 

 

俺の方としては、さっきのあのコマ!!

実にいい顔だと思いません?

 

並べてみる・・・・・・…

なんか・・・・・・奥から込み上げてくるでしょ?(笑いとか)

 

 

さて、そんなわけで、過去の心の傷に触れられた山岡は、

こんな言葉を残して地下鉄に消えてしまいます。

『食い物の味なんぞに異常なまでにこだわり、

 そのために家族を不幸に追いやった!』

ガアー!(←地下鉄の音)

 

アア!これは劇画だ!

このマンガは劇画なんです!やっぱり!

実は、後々出て来る設定ですが、

山岡士郎は「虎の穴」ならぬ、雄山の美食料亭『美食倶楽部』で小さい頃から鍛え上げられたんです!

もしこれがスポ根マンガなら、山岡はさしずめ、サッカーや野球のマシーンになってるところです。

『虎だー!お前は美食の虎になるのだ!』

 

なんかいい響きだ。美食の虎。

 

 

余談だけど、虎って言えば、

アニメ『ミスター味っ子』で、大虎とかいうキャラがいたの、知ってます?

片手で4つずつ寿司を握るっていう怪物。

片手で4つなので、一気に8つ握れる『マッハ握り』という必殺技があって、

握ってるところに近づくと、『マッハで握ってて危ないから近寄るな』

って怒られると言う・・・・・・

 

あ、話がそれた。

 

 

 

==次の日。==

さて、そんなことがあった次の日、

借りてもらった天ぷら屋で勝負が始まります。

が、雄山曰く

『天ぷらを食べて、美味いの不味いのと判定するのは簡単だ、

 揚げる前にどの職人が美味い天ぷらを揚げるか、それを当てることにする。』

と、ここに来て唐突にルール変更。

 

山岡さんは職人の手並み、健康状態で判断。

うむ、妥当な線ですな。

そして今度は雄山の番、雄山は手もとから何か取り出します。

 

「これを聞いてもらおう」

 

それは天ぷらを揚げる音を収録したテープ!

何気に用意周到です。

誰かに録音させたんでしょうな。きっと。

ここで俺は、何故かキン肉マンのスーパーフェニックスが頭をよぎったり。

 

さて、そんなテープなんか用意してない(というか、ルールすらわかってなかった)山岡は、

当然のごとく惨敗。

そんな方法でも、勝った雄山はそれはもう大喜び!

 

『得意げに食通ぶりおって!

 食い物の記事を書こうなど、滑稽千万だ!』

 

悪態もノリに乗って、滑稽千万!!

滑稽千万なんて、普通の会話ではまず出て来ないけど、

こういう雄山の古い言葉使いって、俺は大好き!

みんなで使おう!

 

さて、以上が親子初対決となった『油の音』。

この回は、けっこう重要な回だと思う。

この対決で敗れることにより、山岡士郎が『究極のメニュー』に真剣に取り組むことになるし。

何より、雄山初登場ってのが嬉しいところである。

 

んでは、やっとこさ彼の紹介が終ったので、

これで雄山の魅力について語ることができるってもんです。

実はこれ、続くのだ!


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