おによりつよい おれまーい

さとわぬ島民話 土方久功 再話・絵


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この本との出会い


ある日のこと。

 

「ラーメン屋いかねえ? うまいとこ。

 あ、知ってるの?んじゃ、そこ行こう」

 

と、酒を飲んで、いい感じに酔ってる俺は、テキトウに発案。

ボウリングやカラオケなどの要求は無視無視!

ラーメン屋へと突き進む!

 

「ラーメンだ!俺の胃は今、ラーメンなんだ!」

 

そんなことを言っていると、俺の眼の中に古本屋が飛び込んでくる。

 

「やや!これは行ったことのない古本屋!これは行かねば!」

吸い込まれるように、ワゴンセール品を物色。

本を立ち読みしていた俺は、このブツを見つけ、

ゲラゲラ笑いながら読んでいた。

ラーメンのことなんかすっかり忘れたね!(迷惑)

 

「おによりつよい おれまーい」

ホントに強ぇぞ!おれまーい!

 

てわけで、内容紹介。

 

 

内容


 とおい みなみの ひろい ひろい

 うみに、ぽつんと うかんでいる

 ちいさなしま、さとわぬしまの

 おはなしです。

 

 昔、さとわぬ島に、よーぬ、やーと という 夫婦がいました

 その夫婦に、一人のおとこのこが生まれました。

 二人はよろんで、そのこの名前をおれまーいと名づけました。

 そのおれまーいは、生まれるとすぐに ハイハイが できました。

 四日たつと、もう 歩くようになり、

 八日たつと、やしの葉で編んだ戸を 破りちらすようになりました。

 そして、いちにちいちにちと びっくりするようにおおきくなり、

 強いこどもになりました。
 


藤子Aみたいに「ムキー!」とかいって、葉っぱ破りまくってたりして。

ま、親にしてみれば、

障子に穴をあけまくる子供くらい迷惑だったろうけど。

しかし、この段階でもう、その生まれ持った能力を出し始めてるね。

ジョジョだったら背景に「ゴゴゴゴゴ」とか出てる段階。

 

 


 あるとき、村でお祝いごとがあって、村中の男たちが 海に魚とりに出ました。

 おれまーいも お父さんにつれられて 海に いきました。

 そして、いろいろなさかなを たくさん とって 帰りました。

 

 女の人たちは、みんなでご飯の用意を していました。

 (中略)

 おれまーいは ここにやってくると、

 「ぼくはこの いちばん小さい魚を食べるんだから、とっといてね。」

 といって、遊びに行ってしまいました。

 

 しばらくして、かえってきた おれまーいは、

 「ぼくの食べる いちばん小さい 魚はどこ?」

 とききました。


 そばにいた人たちはうっかりして、

 そのいちばん小さい魚を食べてしまったので、

 ほかの大きな魚を出してやりました。

 

 すると、おれまーいは きゅうに怒りだして、

 うちをひっくり返してしまいました。

 はーッ!!
 

 

ゲー!!

家を片手で吹き飛ばしやがったぁッ!!!

 

 

「ああー!俺の家が!家がぁぁ〜〜!!」

 

という声が聞こえてきそうなくらい、

おれまーい、唐突過ぎる行動です!

 

あまりに唐突すぎます!

 

現代のキレる子供と、何か共通のものがあるのでしょうか?

なんて、含みがありそうで何の意味も無いコメントとか、

述べられそうな気さえします。

 

嗚呼、おれまーい、ワガママBOYだぜ!

 

それにしても、おれまーいの吹き飛ばしてるポーズ、俺的にツボ。

  この相撲の土俵入りにも似たガニマタ・ポーズが・・・

 

 

って、全裸やん。

 

 

 

 

 

んでこのあと、村はどうなったかといえば・・・

 


 おれまーいの乱暴にびっくりして、村の人たちが集まってきました。
 


そうですね、家一軒吹き飛んだんですからね。

 

人災で。

 

おれまーいには、口が酸っぱくなるまで説教していただきたい。

 

 

 

さて、大人たちは集まって何の相談をしてるのかというと・・・・


 「こんなつよい こどもは みたことがない」


 「ちからがつよくて らんぼうで 

  なにをしでかすか わかったものではない」


 「これはきっと悪い物の怪が憑いているにちがいない」


 「ああおそろしい」

 

 「みんなでうまく だまして

 殺してしまおう」

 

 と、そうだんしました。
 


あの…島民のみなさん、

なんでいきなり暗殺ですか!!?

 

マフィアでも、そんなに結論早くないですよ。

とてつもなくガチな思想です、このボンクラども大人たち。

 

 

 

 

して、暗殺を謀る大人たちは何を考えたかというと・・・


 それでみんなは、おれまーいをにつれて行きました。

 そして、

 「大きなパンの木の下に座っていろ」

 と いいました。

 おれまーいは、言われたところにいって、そのまま寝てしまいました。

 

 みんなは急いでパンの木を切り倒し、

 おれまーいの上に倒れるようにしました。

 

 パンの木が、ギイギイと音を立てて おれまーいの上に倒れかかると、

 おれまーいは むっくり起き上がって、

 すわったままひょいと手を上げて、

 そのぱんの木を片手で受け止めました。
 

 ・

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 ・

最初に思い付いた暗殺方法=「圧殺」。

 

はてしなく原始的。

 

もしかしかして、この島では意外とポピュラーとか?

 

 

おれまーいも、となりで一生懸命木を切ってるんだから、

寝てないで気付いてやれ。

 

 

 

 


 みんなは、こんどはおれまーいを

 海に沈めてやろうと 思いつきました。

 

 よくしなる木の枝をしばって、魚を取るかごをつくって、

 おれまーいにいいました。

 

 「おまえ、このかごの中にはいって 中からひもをむすんでくれよ」

 おれまーいが 言われたとおりにすると、

 

 みんなはいきなりかごの口を外からふさいで、

 かごに大きなを結びつけ、

 船にのせると、にこぎだしました。

 そして、ふかい海に投げこんだので、

 おれまーいは かごにはいったまま

 うみのそこへ 沈んでしまいました。

 

 みんなは、

 「あのつよい子供も、

  こんどこそ 助からないにちがいない。」


 と、ほっとしました。
 

 

島民の皆さん、なんだかやたら必死です。

だんだんと、やり方がマフィアっぽくなってきてるし。

 

だって、沈める前の絵面がコレですもん。

←コレ

まるで囚人扱いです。

周りで見てるやつらも、ちょっと距離をとって、

近づけないけど見てみたいっていう心理が絶妙に伝わってきます。

 

 

それにしても、気づけよ おれまーい。

 

 

 

さて、沈んでしまったおれまーい、どうなるかと思えば・・・

 


 ところが しばらくすると、またあのおれまーいが、

 大きなかごをかついで海から上がってきました。

 死んだはずのおれまーいが 元気にあがってきたので

 大人たちはたまげてしまい、

 子供たちは怖くなって逃げ出しました。


 おれまーいは 船小屋のところまできて、おおきな声でいいました。

 「おおい、みんな来て、おまえたちの魚を焼きなさい。

  お前たちのカゴが帰ってきたんだよ」 (←気づいてない※)
 

 

ああ、生きてたか、おれまーい!

これぞ今世紀最大の脱出マジック!

ちなみに、この手品のタネは腕力だ。

 

いや、もしかしたら実のところ、

デビット・カッパーフィールドや引田天功の脱出マジックも、

タネはこんな感じなのかも!

 

てことは、おれまーいにもトラックを消すマジックとかできそうだよな。

腕力で。

 

 

それにしても、今回はホントに素晴らしい脱出マジックでしたね。

 

子供たちは、怖くなって逃げ出してるけども。

 

 

 

 

 


 さて こんどは、みんなでぴーく島まで をとりにいって、

 おれまーいを置いてきてしまおうと 相談しました。


 ぴーく島は、ひとばんじゅう舟をこいで やっといけるくらい遠い島です。

 おまけに、”やにゅう”というがいて、

 人を追いかけたり、脅したりするのです。


 ぴーく島につくと、おれまーいは ごろりと横になって寝てしまいました。

 そのまにみんなはさっさと亀をつかまえると、

 船をだして帰ってきてしまいました。

  おれまーい、置き去りにされるの図
 

さて、今度の島民の作戦は島流しです。

って、鬼よりもやってることが鬼畜だぞ、島民よ。

亀はちゃんと捕まえて帰ってるし。

 

島流しにされた先に鬼が住んでるってのも、なんだか意味深だ。

 

 

 

 

んでこの後、

目を覚ましたおれまーいの元に、話題の”やにゅう”が訪れます。

やにゅうは


 「そうかそうか、いいこだね。

  だけどおれは、こどもの肉がだいすきでね。

  食べたくなってくるのだよ。食べてやるよね。」
 

と、少々言葉使いがカワイソウな感じで登場してくれます。

こんなんじゃ、鬼といってもあまり怖くないんですが・・・

 

 

しかし、そんな悪鬼が現れても、我らがおれまーいは平然と


 「ようしこい、力くらべをしよう。けんかをしよう。

  おまえが俺を負かしたら、食べさせてやるよ。」

 

 そこでおれまーいと やにゅうの大喧嘩がはじまりました。
 

と、まるで餓狼伝の松尾象山のような喧嘩バカと化しています。

 

そろそろUFCとかバーリートゥードとか、

総合の試合に手を出しそうな勢いです。

希望を言えば、決め技は飛びつきからの腕ひしぎとかがいいですね!(妄想)

 

 

睨み合う二人。

 

 

 

で、なんだかんだでバトル開始。

 


 やにゅうは足を止め、じりじりと間合いをはかりはじめました。

 たんかをきったのはいいものの、やにゅうはなかなか攻めずらそうです。


 一方おれまーいは

 「来なぼうや、もう はじまってるぜ」

 と、だるそうにいいました。


 「まるで 背中に つららをぶちこまれたみたいだぜ。」

 やにゅうは 冷や汗をかきながらそう思いました。

 

 

・・・・・って、これはウソ。

 

しかし、俺の脳内バトルでは

おれまーいのパンチが相手のアゴを捉え、

やにゅうが飴のようにヒザから崩れる描写まで、克明に描かれているんですよ!(ツバを飛ばしながら発言)

 

・・・・・・ま、それは俺の脳内にしまっときましょう。


 

しかし、こう妄想するのも仕方ないこと。

 

物語でおれまーいは、

鬼をカレリンズ・リフトのごとく腕力だけで持ち上げ、

そのままぶん投げちまいます。

 

  だー!

  やー!

 

 

 

 勝負の機微もあったもんじゃありません。(T-T)

 

 

まあ、絵本がケンカを克明に描く必要って、全くないんだけど・・・。

 

 

 

 

 

 


 やにゅうはやっと起き上がると、おれまーいに言いました。

 「おそろしく強い子だ。

  まってろ、俺がやしの実やパパイヤをたくさん取ってきて、

  ご馳走してやるからな。」


投げられたやにゅうは、そそくさと「秘技・ワイロ攻撃」を実行。

おれまーいの前に御馳走を並べます。

おなかが一杯になって、まったりしたおれまーいは、

島に帰ることにしました。

やにゅうの作戦勝ちでしょうか?

 

 

んで、


 やにゅうは、こんな強い、おそろしい子供が、

 いつまでもこの島にいてはたいへんだと思って、

 自分の舟をもってきました。

 けれど舟には ”ほ”もなければ、舟をこぐ ”かい”もありません。

 

 そこでおれまーいはやにゅうに、

 「おい やにゅう、僕の”かい”を取ってくれよ」

 と、いいました。

 

 やにゅうが棒をとってやると、

 「ちがうよ、そっちの流れ木だ」と、いいました。

 ←流れ木、不必要にデカイです。

 

とりあえず、ツっこんどきたいんだけど、

おれまーいのこのポーズ、

 自信に満ち溢れすぎッ!

目が、ガチャピンみたいにジットリしてるし!

 

ん〜〜ッ!おれま〜〜い バンザイッ!ヽ( ´ー`)ノ

 

圧倒的な力の差を見せつけて、

「おいヤニュウ!」

って呼ぶのはジャイアニズムそのものだぜ!

 

ここに来て、

ワガママBOYが遂にジャイアン化か?!

 

 

それに対して、棒を渡そうとしてるやにゅうが、ちょっとカワイイ。

 

 

 

 

 

さて、不必要にデカイ丸太をカイの代わりにし、

故郷の島まで舟をこぎ出す おれまーい。

力いっぱい3こぎするだけで、目的の島まで着いてしまいました。

 


 おれまーいが島に到着すると、島の男たちは急に動揺し、

 口々に言いはじめました。

 

 「ああ!あれは おれまーい!

  おれまーい伝説は本当だった!」

 

 いったい何を言っているのでしょう?

 おれまーいは不思議に思っていると、

 「早くおれまーい襲来を告げねば!」

 

 と、変な男が叫び、ボタンを押しました。

 

 すると

 

 突如、近くの川が赤く染まりました。

  赤い川です

 

 

 どうやら島では、おれまーいが帰って来た時の準備万端だったようです。
 

 

 

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ああ!これもネタさ!

って、ネタのために画像取り込んでる俺っていったい?!

 

あと、個人的には、おれまーいもケンシロウばりに修羅の国に行って欲しかったり!

 

 

 

 

 

 

さて、話を戻して

おれまーいは本当に、故郷の島に着きました。

 


 おれまーいが 島にあがってくると、大人たちはびっくりしてしまって、

 立っていられないほどでした。


 そして、自分たちのしたことが悪かったとあやまり、

 おれまーいは本当に強い、

 りっぱな子供だといいあいました。


 そしてみんなで立派な家を建てて、

 おれまーいに、島の酋長になってもらいました。

 

 (おわり)

 

えーっと、

ラオウ襲来とあまり変わらないね。

島ごと明け渡しだし。

 

でも、

>おれまーいは本当に強い、

>りっぱな子供だといいあいました。

って部分、ああワザトらしい。

 

 

こんなことで納得していいのか?おれまーい。

まあ、島ごと手に入れたからいいのかな?

 

挿絵をみれば分かるけど、もうこの絵の段階で、

絶対服従

&頭をあげる自由すらなさそうだし。

 

 

ところで、暗殺計画をはたらいたやつら、この後どうなるんだろ?

 

おれまーいには、ぜひジャイアニズムを遺憾なく発揮し、

専制政治を敷いて欲しいですね。

   アハハ、いい気持ちだ (独裁中)

 

 

 

 

さて最後に、

「この本、まだ販売してるのかな〜?」

と、探して見つけたAMAZON.COMでの内容紹介を報告したい。

AMAZON.COM

サトワヌ島は南太平洋のミクロネシア諸島の中の小さい島です。
おれまーいは島の男の子。
ものすごく強い子で、誰もかないません。
あんまり乱暴なので、こらしめに他の島へやってしまいますが……

 

3行目と4行目の間に、

『2度の暗殺計画も失敗し』

って言葉が抜けてますね。

(MARCのレビューのほうがちゃんとしてる。)

 

 

てことで、今回はこれまで。

皆さんの脳裏に「おれまーい」と言う名前が焼きついたら本望です。

俺の方はもう焼きついてて、たぶん次の格闘技のTV中継あたりで思い出すだろうけど・・・。

 

このコーナーでは、今後も面白い絵本、トラウマ絵本なんかがあったら紹介していく予定。

もし、面白いものを見付けたら、教えてくれるとちょっと嬉しかったりもします。

 


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