海原雄山解剖学 A


=海原雄山偉人伝〜怒りの雄山〜=

 

さて、雄山の周りのことをちょっと紹介したので、

ここからは雄山の美味しい面を掘り下げてみたい。

題して、海原雄山偉人伝〜怒りの雄山〜!!

 

 

 

雄山のまず第1のスゴイところは、すぐに怒るところだと、昔の偉人さんも言っていた。

怒るっていうか、もう、すごい怒るんだよ、ホント。

なんか舌っ足らずな表現だけど、そうとしか言えないんだよなあ。

 

スゲエ怒るんだよ!!(反復表現)

 

んで、それがまず現れるのが、1巻・第7話『ダシの秘密』

初登場から続けざまの登場だ!

たぶん、2回続けて出して、読者の雄山像を「これでもか!」っていうくらい固めたかったんだと思うけど、

これは固めすぎ。

 

東西新聞の大原社主と食事の席のこと。

「山岡士郎のことは、私とは関係のないものだと考えていただきたい・・・・・」

とか、まったりと雄山と大原社主が話しています。

 

そんな折、雄山は出された吸い物に手を出しますが、

これがいけなかった・・・・・・・・・・

 

まず、吸い物を口にして・・・・・・・

 ムオッ!

吸い物飲んだだけでこの表情!!

理由は不明だが、さすが雄山、なぜかもうブチキレ寸前。

 

んで、次に煮魚に箸をつけたら

 ガシャーン!

『なんだこの店は!』

 

 大暴れ!!

 

唐突に怒り出すあたりがナイス!

さっきまで何気なく話していた、大原社主の存在も忘れて怒りまくり。

 

『だから私は食事に呼ばれるのは嫌なんだ!

 人を呼んでおいて、こんなものを食わせるとは!!』

 

最高だよ!雄山!(T-T)

人に食わしてもらって、こんな暴言吐けるのは雄山くらいしかいないよ!

『人を呼んでおいて、こんなもの食わせるとは!!』

1度は言ってみたい言葉だよね?

皆さんも、おごってもらう機会が有ったら、是非使ってみて欲しい言葉です。

 

 

あ、名言と言えば、もう一つ、

 女将を呼べ!

 

もはや至高の台詞。

我々の間では、もう何かあると、

女将を呼べー!、女将を呼べー!と、言いまくりで、

もはやバカの一つ覚えにまで昇華したと言ってもいいくらいの台詞だ!

まず飯食いに言ったら7割がた、誰かが言ってるし。

でも、普段行く店では女将が居ないのが悲しいところだ。

って、もしかして俺らって馬鹿?( ̄□ ̄;)!!

 

まあ、そんなこんなで、雄山は怒りまくり。

女将を呼んで、雄山は収まらぬ怒りを彼女にぶつけます。

  (注*怒りの理由は『吸い物と煮魚が不味かったこと』ということを思い出して読んで下さい)

 

『女将!私が誰だか知らぬはずはあるまいな!』

『美食倶楽部を主宰する海原雄山と知りながらこんなものを出したのか!』

『この私も舐められたものだ!!』

 

雄山、怒りの3段スライド方式!

最後の結論はどういう経路を巡ってたどり着いた結論なのか、大いにその道順を聞いてみたい。

雄山って、こういった自己中心的志向というか、

思い込みが激しい部分がけっこうあって、

その飛びっぷりが尋常じゃ無いんだよ。やっぱすごいよ。

「誰もそんなこと言ってませんって!」

って、誰かにたしなめられそうだ。

 

んで、この回は、なぜか居合わせた山岡士郎が、代わりに調理場に立ってダシを取り、

それを雄山が大いに誉めるのである。

そして、

『わあっはっはっは!なかなかあのダシは取れるものじゃない、

 どんな板前か、顔を見せてもらおう!』

『ムウ!雄山!』

『なッ!!士郎!』

って言うベタな展開に。

 

もちろん、山岡士郎を見つけた瞬間、雄山は

『あんなもの、「美食倶楽部の」一番下っ端のものでもできること!』

と、簡単に手のひらを返します。

ついでに、

『美食倶楽部を脱会してもらおう!』

と、テキトウに東西新聞・大原社主も脱会宣告。

この時、何気に大原社主が的確なツッコミ入れてるのが素敵です。

 

 

さて、ここまででも雄山の怒りっぷりは尋常じゃないものであることが、確認できたんじゃあないでしょうか。

(*もう一度、怒った理由は「お吸い物と煮魚が御口に合わなかった」ということを思いだしましょう)

まあ、雄山でなければ

『女将!私が誰だか知らぬはずはあるまいな!』

なんて台詞は口にできません。

もう、モハメド・アリの域まで達してるんじゃないだろうか。

 

あるいはこの方↓

SAY MY NAME!!

 

特別出演ジャギさま。

 

 

そんな味の鬼神・海原雄山の真の怒りが見られるのが、4巻は『板前の条件』。

実は、先ほどの怒りはまだまだホントの雄山の怒りではありません。

どれくらい怒っているのか?と言われると、

さっきの紹介分が、北斗の拳でいうとサウザー、

男塾で言うと、耳の筋肉で戦ったファラオのボスくらいに惜しいところですが、

いかんせん今一歩と言えるくらいの怒りっぷりです。

って、この例えは読んでてわかる表現なのか、疑問だ。

むしろ、俺も全然わかんないんで、実際に見てもらいましょう。

 

 

 

 

それは、こんな感じです。↓

 

やったぁ!!!!

 

 

『ホントに誰だよ!?あらいを作ったのは!!』

とか、なんだかわかんないけど、思わず同調できるくらいの迫力です。

お皿を持って、こんな感じに乗り込んで来られたら、誰でももう『すいません』って言っちゃうよね。

相手がわけわかんないこと叫んでても。

 

んで、実は密かに、この直前のコマもけっこう面白い。

 

これ↓。


『ドス』という足音で怒りが全て表現されています。

これも、芸術家・海原雄山だけがなせる感情表現なのでしょう。

だんだん大きくなってくる足音に、

料理人達がすっかり固まってしまっているのがなんだかすごく良い味わい。

 

『一体この足音は・・・・まさか!!?』

 

っていう顔です。

 

 

さて、雄山の怒り顔連発だけでも十分面白いのですが、

それでは紹介にもなんにもなりゃしないので、ストーリーの方にも触れておきましょう。

実はこの回、雄山ファンにとっては美味しいところが満載な話であり、

雄山ファンなら4巻はぜひともGETしておきたい巻である。

話の起点は、やっぱりさっきのこのページ。


アア!すげえオイシイよ!雄山!\(T−T)/~

 

 

って、なんかまた喜んでしまいますが、そんなことしてないで話の紹介。

この話しの中心人物、良蔵君。

彼は将来を有望視される美食倶楽部の板前さん。

雄山の夕食担当を任され、張り切って料理を作り始めます。

が、その中で、作った『あらい』が美味しくなかったというのが、

雄山の起爆装置をスイッチオン。

(真ん中の青年が、怒られた良三君)

 

『このあらいを作ったのは誰だ!!』

「わ・・・私ですが・・・・」

『貴様か!!貴様は首だ!出ていけ!』

「く・・・・くび!!?」

『やかましい!こやつに料理をする資格はない!

 出ていけぇ!!』

「ひぃぃぃぃ!!」

 

なんか、昭和の大映TVドラマ見てるようだ。

 

「せ・・・先生!

 良三の悪いところは改めさせます、どうか・・・・」

という板丁・中川が止めるのにも、雄山は聞く耳を持ちません。

あまつさえ、持ってきたあらいの皿を鬼の表情で良三君に叩きつけ、

またドスドスと足音を立てて厨房を後にする雄山。

ココの部分だけで、俺は至福の時が過せるくらいに美味しいシーンです。

 

でも少しくらい、どこがいけなかったのかくらいは説明してやんなよ、雄山・・・・・・。

 

 

で、首になった良三君が、兄の店「岡星」で働かせてもらっているところに、

山岡士郎率いる面々が現れることになります。

今回のことの経緯を伝え、

『よし、わしと山岡はんが、味を見たるわい』

と、味を見ることになります。

 

が、実は良三君が煙草を吸っていたことが発覚。

『料理人が煙草を吸うと味覚が云々』といった、美味しんぼ的なうんちくの後、

山岡さんには

『良三さん、あんたには料理をする資格がないよ』

などと、散々な言われようをされる良三君。

 

 

なんか、煙草を吸っただけで踏んだり蹴ったりな良三君。

でも、くじけるな!それは緊張を抑えるために吸っただけ、きっとこれから立ち直れるよ。

俺は前途のある君を応援する!

気持ちを切り替えるんだ!君は悪くない、悪くないぞ!

全ては煙草が悪いんだ!!

『煙草を吸ったらクビになりました』と、タバコ会社を訴えて慰謝料をーーッ!!

 

そんなわけで、美味しんぼは「煙草の害を考える編』に!

って、なるわけがない。

 

 

 

さて、そんなわけで、ここから「良三君を美食倶楽部に戻せ大作戦」が開始されます。

 

『ようは、良三君を手放したくないと思わせればいいんだ。』

 

そういうわけで、雄山には内緒で厨房に立つ良三。

そして雄山の食卓には、計画を知る京極さんが座っており、準備万端です。

 

『はっはっはっ、この雄山日常の食事にどんなものを食べているのか、

 好奇心を抱かれるのも無理からぬこと。

 京極さんに見せろといわれては断れん。ま、じっくり味わってください。』

と、雄山自ら、今の状況を説明してくださります。

まるで悪代官の独り言のよう。

 

さて、雄山の食生活、一品目にスッポンなどを出して、

『それが日常の食事なのか!!?』

という、雄山の計算しつくされた読者への突っ込み待ちを行われたあと、

次いで雄山は二品目をださせます。が、それが少々計画と違ったよう。

『はて、とろろ芋を寒天で固めたものを出すように言ってあったはずだが。』

と、首を傾げます。

 

実は、この2品目が良三君の秘策。

薄っぺらーい、寒天みたいなヤツを出して来ました。

 

さて、ここで雄山マメ知識。

雄山の特徴として、まだ挙げていないもののひとつに、

『頼まれていないのにその料理について解説しまくる』と言う面があります。

属にこれを「シャブスキーモード」と呼ぶ人が後をたちませんが、

なんでこれがそう呼ばれてるのかは、あえて伏せさせていただきます。

 

んで、

 

二品目を出された雄山は、これがなんだかよく分からないご様子。

今回も、目の前に居る京極さんの存在などすっかり忘れて、

この料理について解説しまくります。

 

『ムウ…・・ダシのとりかたは完璧、調味料の配合も申し分ない。

 酢を使っているが、酢のキツイ香りを巧みに抑えてある。

 ふむ・・全体的にわざと香りを抑えてある・・・・・・・

 いや待て・・・・・・かすかに・・・かすかに何か香りをつけてあるぞ!

 このわずかな香りが、この何もなんの味も匂いもなきものに、

 鮮やかでふくよかな風味を与えているのだ・・・・・。

 この香りはなんだ?』

 

『おのれ!!

 この雄山の味覚と嗅覚を試そうというのかっ!!』

 

 

なぜそうなる!!?雄山!!

 

さっきから目の前で「解説モード」を聞き言っていた京極さんも、

『か・・・海原さん』とか、驚くしかないですな。

 

この部分、解説モードから急に怒り出すあたりが絶妙。

やっぱり、「これでこそ雄山」という感じがか醸し出されてるよね。

 

んで、怒った雄山は、そのまま厨房へ。

「これを作ったのは誰だ!!」

美味くても不味くてもやることは同じか!?

 

しかも、ドスドスという足音まで同じだし。

絶妙すぎだよ。原作者・雁屋哲に乾杯。

 

んで、雄山はそこにいる良三君を見つけ、

やっぱり収まらない怒りを思いのたけぶつけてくれます。

このやり取りが、なんだかもう脅迫めいたやり取り。

このやり取りについては、

『ゆ・・・・・・・・雄山が本気だ!』

とか、シンプルなコメントを述べさせていただきます。

 

 

『きさまか!この雄山を試すような真似をした小僧は!』

「は・・・・・はい、・・・・・私です」

『問題はこの香りだ、木の実だ…木の実をもいで酒に漬けておいて、

 木の実の色と香りのついたその酒をツユのなかに入れた!!』

 そうだな!』

「はい・・・・そのとおりです」

『問題は木の実だ、木苺でもない、すぐりでもない、

 さくらんぼでもない・・・・・・・・・・・・・コケモモでもない・・・・・・』

 

― くわッ ―

 

『桑の実だ!!そうだろう!!』

 

「はい、そのとおりです」

 

 

脅迫めいた会話で、みごと良三の料理を看破し、

ちょっと満足した雄山。

 『ふっふ・・・・この雄山を試しおって、生意気な小僧だ。』

と、実にいい表情勝ち誇ってくれます。

もちろん、このことで、

『わかったわかった、煙草をのむ奴にこんな料理ができるわけないだろう。』

と、良三の首になった件は帳消しで、彼の大物ぶりを披露してくれます。

さすがは雄山。

 

 

 

 

大物ぶりと言えば、この回の最後のシーンは外せません。

わあっはっはっは!

いい表情で大笑い。

ストーリ-の最後で、今回の件が全て山岡の仕組んだとこであることが、雄山の知る所になります。

が、そこは大物の雄山。それでもなお、こうまで大笑いできる包容力の大きさ!

俺、この顔が大好きなんで、格ゲーやら掲示板やらで使いまくりのひとコマです。

 

『わあっはっはっは!』

 

こんな笑い方をできるのは、もう雄山しかいないことは明白。

ってか、雄山以外は使用禁止。

 

まあ、このわざとらしい笑い方、真似しようったって早々できないと思うけどね。

 

 

 

と、なんか長々と書いて来ちゃったけど、コレ、怒った雄山だけしか書いてないや。

他にも魅惑的雄山像に迫る企画を立ててるんだけど、

山岡士郎を説明するのと、どっちを先にしようかなあ・・・・

トモアレ、美味しんぼ企画はしばらく続くので、こうご期待。

 


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