自分は昔っから変なものが大好きな人間で、 それこそ、中学生の時期に、 『ヨガ読本』なんかを教室に持っていっては見せびらかしていた。 そんな人間である。 ちなみに、そんなものを見せびらかしても 誰も嬉しがらないのは言うまでもない。
んで、そんな自分がある本と出会い、 ちょっとしたヒーローを見つけたのである。 その本の題名は『ギネスブック』。
これは、ギネスブックのヒーローと俺と 世の中から隠された幻魔対戦な話である。
●誰も知らない世界一● 例えば、世界一速い男、世界一高く飛ぶ女、世界一遠くに砲丸を投げる人間。 これらは、カッコいいし、なんかすげえ!って素直に思う種類の世界一だろう。 また、ノッポ世界一、巨漢世界一、なんてのは、 平成生まれの人間にはちょっと通じないかもしれんが、 『ビックリ人間』的なインパクトが有る。 同様に、爪伸ばしたり、髪の毛伸ばす人もいるね。
そんな、身体的・運動能力的な世界一もスゴいけど、 俺が最も支持したいのが『コツコツ努力型世界一』。
コレだろ!コレ!
「よく才能、才能って言うけど、コツコツやってく忍耐ってのも、 やっぱ『才能』なんじゃない?」 って言う主張が、最近のエッセイなんかで目にしますが、正にそれ。
誰でも兆戦できるけど、 誰もやらない!
コレだ!
林檎の皮を52.51Mの長さまで 丹念にむきあげるキャシーおばさん!(推定)
な! (同意を求めています)
そんなわけで、ギネスブックはアツイのである。 (主に『忍耐』の項目)。
さて、そんなギネスブックに、彗星のごとく現れたマイ・ヒーローがいた。 その名はアシュリタ・ファーマンさん。 牛乳びんを頭に乗せ、 98.2km歩いた記録保持者である。
以下、『ギネスブック '93』より抜粋 ---------------------------------------- 牛乳びんの頭乗せ 98.2km歩いたのが最高記録で、1992年5月23日、 米国のアシュリタ・ファーマンさんがニューヨーク州ジャマイカで、 15時間2分かけて樹立した。 ----------------------------------------
ファーマンさん、サイコー! 98.2Km歩くだけでもけっこうお疲れなのに、 牛乳びんを頭に乗せるとは! なんてビジュアル的にも美味しいんだ!
ちなみに、この競技(?)の名前は『牛乳びん頭乗せ』。 競技名も美味しいです。
俺がこの種目に気付いた時期は、たしか94年。 ちょうど、ギネスブックの94年版が出ていた頃なので、間違いはないと思う。 んで、俺は本屋さんでファーマンさんのその後が見られるかと思い、 94年版のギネスブックをドキドキしながら開いた。 そしてなんと、そこには驚くべきことが起っていたのである。 ------------------------------------ 牛乳びん頭乗せ 104.2Km歩いたのが最高記録。 インドのプーンで1993年5月14日から15日にかけて、 ミリンド・デシュマックさんが達成。 かかった時間は20時間43分。 ------------------------------------
ゲー!! 記録が塗りかえられてやがる。
恐るべし、牛乳びん頭乗せ。 一体、ミリンドさんは何を思って この記録を塗りかえる気になったのであろうか。 この牛乳びんの何が、人々を狂わせるのであろうか!? ともあれ、わかったことは 『インドは侮れない』ということである。
ファーマンさんの記録が破られた当時、 彼はどんな状態だったんだろう…? きっとこんな状態で、リベンジを決意したに違いない。
『私の記録が破られた…・』
ファーマンは頬づえをつきながら悩んだ。
『あの記録に挑戦する者が現れるとは…』
『インド・・・・恐るべき国だ。』
『だが…・だがしかし、俺は負ける訳にはいかない。 なぜなら俺は、 アシュリタ・ファーマンだからだ!』
そういって牛乳を頭に乗せ、立ちあがったファーマン! 頑張れファーマン!(以上、妄想おわり)。
さて、先ほどから飛んで2年。 ギネスブックのことなんかはすっかり忘れた私が、 ふとまた本屋でそれに出くわし、何気なく手に取ってみた。 前々から注目していた『忍耐』の項目をゆっくり開く。
そこには、前年度の記録保持者 『アシュリタ・ファーマンさん』 の文字が燦然と輝いていた!!
記録が破られてからたったの3ヶ月後(!)の93年8月1日、 ファーマンさんは、113.76Kmを、 牛乳びんを頭に乗せて踏破したのである!
この時、 彼は俺の中でヒーローになった。
以上、とりあえず、俺とヒーローと 人の知らないところで闘ってる人達の ことについて、妄想も交えて語ってみた。
んで、96年以降、ギネスブック(日本版)では、 牛乳びん頭乗せの記録は確認が取れていない。 今手元にあるのが、96年から、飛んで1999年版しかないからである。 来年のギネスブックには、是非復活して欲しい記録である。
さて、ギネスには、他にも地味だがよく考えるととスゲエ! ってな記録がけっこうある。 例えば、コイン関係。
けっこう、これはパッと思いつくかもしれないけど、 ギネス級になると、その闘い方も半端じゃない。 94年版では、こんな記録がある。
垂直に立てた5ルピー硬貨のうえに、 225枚の1ルピー硬貨を積み上げたという荒技! これは1990年、インドのガリンダー・シンさんがうち立てるのだが、 まさにその半年後に、 同じくインドのディパック・シャルさんが28枚上回る 253枚積み上げて、みごと記録を塗り替えていたりする。
さすがインド!侮りがたし!(って、そればっか)。
なんか、考えるだけでも胃が痛くなりそうな挑戦だ。 しかも、この記録は2001年版の記録でも、 塗り替えられていない・・・・スゲエ。
他にも、 「修行だ」って言いながら17年立ち続けたインド人とか、
一人黙々と、ビルを素手でよじ登ってる 米国のダニエルさんとか、
水きりで29回小石(?)をジャンプさせた、 アーサーリングさん(69歳)とかがいる。
このように、世界にはわからない努力をしている人達が沢山いるってことが、 何となくウレシイ。
だが、後のギネスブックでは、 17年立ちつづけたインド人の記録は 何故か載らなくなり(たぶん誰も超えられないから)、 ビルを素手でよじ登る記録ももちろん削除されている(危ないから)。
んで、この『危ないから』競技にしないって姿勢が、 ちょっとなんだなあ、と思ってしまう。 これらは、当時ギネス熱がヒートアップして、 無茶なことをした人がけっこういたので、 ちょっとは自粛してくれって意味も含めてのことだろう。
この処置は、そんな熱を少しは和らげたかも知れないが、 そんなのは余計なお世話である。
嗚呼!もったいない。
昔、スカイダイビングの最年少記録を狙って、 自分がどんな状況かわかってないお子さんを 空中に放り出してる映像とかあったけど、 そんなのはまわりのヤツが止めてやれよ。 『危ないから』って。
(そこんところは、自己責任と、回りの人間の誠意とか良識に任せれば、 けっこう大丈夫じゃないかなあ、とか思ってるんです)
でも、17年間立ってる人や、水きりの遊びは、 別段危なくないので いつでも挑戦できます。
ちなみに、水きりは92年に38回という大記録が生まれてたり。 お爺ちゃん的にはちょっとガッカリですな。
●凄いけど、ちょっとガッカリ●
んで、ギネスのネタを集めてる最中、 こんな番組がタイムリーで放送された。
『牛乳びんを頭に乗せて世界記録』
マジかよ!!
もしかして、マイヒーローのファーマンさんが出るのか!? そう思ったのも束の間、 なんだか見たことのある顔が・・・
それもそのはず、彼はギネス2001の 片足立ちの記録保持者で 片足で立ってるという動きのない写真が 掲載されている人であった。 ちなみに、この時の片足立ち記録は76時間。 俺は両足でも立ってられん。
そして現在、「牛乳びん頭乗せ」の世界記録は、 彼に塗りかえられたのである。
だがしかし、彼はこのようなギネス記録を沢山持ち、 世界第2位の17個の記録保持者らしい。 つまりは、ギネス記録マニア(?)とでも言うのであろうか。
彼は言う、 『こういった事を通して、恵まれない子供達への 寄付金を集めている、 将来はマザーテレサやそういった人達みたいなことをしたい。』
素晴らしい心がけだ。 素晴らしい・・・・・・だがちょっと待ってくれ。
社会的には素晴らしいが、俺的には実に惜しい。
俺としては、 「なんでそんなことしてるんですか?」 と聞かれたら、
『頭に乗せたかったから』
と、答えて欲しいのである。
インドの立ちっぱなしな人みたいに、 『修行』の一言でもいい。
兎に角、役に立たない事を なんの目的もなくやって欲しいのである。 コレが俺のヒーロー願望。
まあ、そんなのはどうでもいいことなんだけど。
●これからのギネス●
これからのギネスは、今回取り上げたような地味なものではなく、 更に派手なものを中心に取り上げて行くようだ。 まあ、記録を全ては載せられないんだから、 本としては売れる方向を目指したいのは納得はできるけど。
あと、日本のギネスブックを見ていると、変な所に目が行く。 日本の記録を目立たせたり、 変に日本の記録を入れたがる傾向がある。
そんなものは、読者が望んでるのかなあ?と、ふと思う。 『修行』って名目だけで17年立ち続けたインド人の記録を見て、 世界の広さってのを何となく感じられるのが、 ギネスの醍醐味だと思う。
まあ、そういった忍耐力を必要とする記録には、 日本人は全然名を挙げてないんだけども。
おっと、『ギネスを見て世界を云々』 みたいな話になりそうなので、起動修正。
兎に角、 ギネスには俺の知らない世界が広がっていて、 俺の解からない価値観に動かされた人が、 一生懸命に記録を争っている。
そんな世界であって欲しい。
んで、
今後是非とも、アシュリタ・ファーマンさんや、インドの方にでも、 例の『牛乳びん頭乗せ』の記録を更に破って欲しい。
その際、記録達成後のインタビューでは、 牛乳びんを頭に乗せながら、 『なにか変わった事でも??』 とか何気なく言って欲しい!
ってか、誰かやって!
いや、きっと誰かやるかな?
世界には、こんな顔↓しながらヨーヨーができる達人も居るのだし。
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