●思い立ったが吉日ってのは、良い言葉 それは4月の末のこと。 ニュースサイトで仕入れた情報の中にこんなものがあった。
”日本初! チェスボクシング・デモンストレーション開催!”
「なに!? 日本初らしいぞ! せっかくだから行ってみようぜ!」 「ウム! きっと凄いスポーツに違いない! 自由が丘でやってるのか。」 「イタリア大使館協賛か。かなり国際的な競技と見たぜ!」
そんなやり取りのあと、俺は友人たちとすぐさま現場に直行! 胸を高鳴らし、自由が丘の駅を降りた。 ひと通り、まわりを眺め、
「んで、そのチェスボクシングってのは何なんだ!?」
と、初めに来るべき疑問に気づく我々! し…しまった――!!!!(゚д゚;)
予想だにしない緊急自体発生!
少々戸惑いながらも、平静を装いつつ、 とりあえずチェスボクシングについて予想を立ててみる。
「チェスとボクシングの融合って聞いたぜ!」 「盤面上でボクシングをするのか!?」 「いや、チェスとボクシングが対決するんだ!」 「どうやって!!?(゚Д゚)」
あーだこうだと考えながらも、 チェスボクシングの予想は次の2つに落ち着いた。
予想その1
チ ェ ス ボク シン グ ポーン・ビショップ・クイーンなど、チェスのコマのような武器を腕にはめ、 民明書房「格子縞にかけた闘争」より
ってな具合に、1対1で戦う男の格闘技!
そう、それが チェスボクシングなのだ!(゚Д゚)
たぶん。
予想その2
盤面は四角いジャングルと化す、血で血を洗うチームマッチ! 向かい合ったコマ(人)が闘うが、 コマの強さはまさに能力次第。 ポーンがクイーンをほふる時だってある!
しかし、次々とコマが取られて行った場合、 キングが囲まれるという、凄惨な光景が…!!
っていう、ゆでたまごな展開はどうか!!? 俺はかなり見てみたいぞ!
ああ〜、どっちなんだろうな〜チェスボクシング。 早く見てみたいな〜〜。(´-`)
コレが合ってるっていう保証はどこにもないが。
●目指すは家具屋さん。 さて、そんなドウデモイイ妄想を広げまくり、 ジュースをガボガボ飲みながら歩く我々。 ですが、どういうわけか目的地が見えてきません。 今回チェスボクシングをやる場所は、 TIME&STYLE の T&S GALLERY。 普段は家具やら何やらを置いてる場所っぽい。 でも… でも、見つからねえ!
地図をよく見ながら行ってるのに。
・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・って、誰だ! こんなテキトウな地図作ったヤツは!!
実際はこんなところです。 複雑っていうか、場所知らないとただの住宅街の一角。 歩けば歩くほど不安になってきます。
●THE KOKYO FIGHT 不安になりながらも長い道のりを歩き続け、 家具屋さんにたどり着いた我々。 ショールーム入ると、目の前には大きなリングが! ココです、間違いなく会場はここです!
「やった!助かった!」 とオーバーアクションで喜ぶ我々に、 スタッフは怪訝な目で見ていたでしょうが、 そんなのは気にしちゃいません。
イベント開始まで、 近くで”プロ柔道”のチケット配ったりしてる人と話して過ごしていると だんだんと人が集まって来ます。
しかも、外人が多いです…
「なるほど、さすがはフランス大使館共催だ!」
とか、驚いてたら、 普段はこのギャラリーで、日本語教室を開いてるみたい。
「ウム・・・」などと、一人で納得。 そんなことをしていると、リングで何やら動きが!!
来ました!リングアナの登場! チェスボクシング 東京大会の始まりです!
「赤コーナー 1.77m, 71kg, エロレーティング1465、 総一郎 CHO-YABAI〜〜!!」 まずは、奥の方から挑戦者の若い男性が入場。
格好は明らかにボクシングスタイルです。
・・・とすると、 チェスボクシングの正体は ↓こちらに確定なのでしょうか!?
あと、 総一郎さんのリングネームが 非常にヤバげなのが気になります。 が、そこは日本初のチェスボクということで、目をつぶりましょう。
ちなみに、エロレーティングとは チェスのランクを表す数字のひとつだそう。
でも、検索しても、エロサイトばっかり引っかかって 詳しいことはわからなかったので割愛!!
そして、もう一方のコーナーにも選手が登場。 「WCBOチャンピオン イップ・ザ・ジョーカー!!! 1.80m, 74kg, エロレーティング1650。」
うおー!? この試合にチャンピオンが出場するのか!?
赤コーナーにはメガネをかけた、ちょっと神経質そうなイタリア人が入場。 ちなみに、彼は近くの消防署勤務だそうです。 ああ、そんな身近にチャンピオンがいるなんて… 頑張れジョーカー!
オモシロ外人に出会ったかのように盛り上がる俺ら。 リング上では軽くシャドーをこなし、 体を温めた選手二人が向き合っています。
さあ、いよいよチェスボクシングの始まりです!
「ラウンドワン ・ チェス!」
威勢のいいかけ声と共に、 さっきまでシャドーをやってた2人が 椅子に座りました!
「なに! 何が始まるんだ!?Σ(゚Д゚)」 とか驚いていると、
何やらリングにデカいものが!!
目の前に置かれるチェス板。
それを見守る審判…
じっくりと次の一手を考える、 ボクシングスタイルの選手…
入場までの盛り上がりを一気に無にし、 黙々とチェスを打ち続ける2人!
後ろのスクリーンに現在のチェス状況が表示されるのですが、 はっきり言って、俺らにはサッパリわかりません。
ああ!! ボクシングは・・・ ボクシングはどうしたんだよぅ、イップゥ〜!!(←馴れ馴れしい)
とか思ってたら、第1ラウンドの終わりを告げるゴングが鳴りました。 さあ、ここからチェスボクシングの本領発揮か…?
1分の休憩の後、リングアナがマイクを持って叫ぶ!
「第2ラウンド! ボクスィーング!!」
来ました、ボクシング!
やっとコレ↓が見れるってことですね!(違う)
って、しつこいか…
一方、リング上では
「ウオー!行け―!!!ヽ(゚Д゚)ノ」
突如として盛り上がる会場。 応援に来た外人さんの一団も、ワインを片手に大盛り上がり。
ボクシングの試合も結構な迫力です。
1R、チェスで押していたイップマンは、 ボクシングでもジャブ&軽快なフットワークで総一郎を翻弄! 華麗なワンツーで、じわじわとダメージを与える! パンチが届くたびに飛び散る鮮血で、 一時会場がパニックに!
とかいうほどレベルの差はないですが、 イップマン、ディフェンスが上手いです。
そうこうしてるうちに2ラウンドも終了。 いい感じに会場も温まってきました。
休憩の後、再びリングアナが叫びます。
「第3ラ----ウンド! チェス!」
ゲー!またチェスか!?(゚Д゚)
運び込まれる机と椅子。 上がった息でコマを運ぶ選手。 静まり返る会場・・・
外人客の手にしたワインも止まったまま… 暖まった会場の熱を、 チェスが根こそぎ奪っていく!
そして…長考…
バカ―! バカー!(゚∀゚)
やっぱコレ、冷静に考えると変だよ。 チェスって、 肩で息しながらやるもんじゃないって!
というか、 チェスとボクシング、 あまりにも離れ過ぎだよ!!
・・・まあ、そんなこと言ったら、 このコーナー意味なくなっちゃうんだけどさ…
ってわけで、チェスボクシングは この様にチェスとボクシングを交互に行っていくスポーツでした。
●詳しいルールはこんな感じ ●試合は、全11ラウンド <チェス 6ラウンド + ボクシング 5ラウンド>
ってな感じ。 このルールを見ると、チェスで勝てない人が殴り勝つとか バカな展開がかいま見えて、 世界的に広がるのが凄く楽しみです。
●決着! さて、肝心の試合の方というと、 さすが王者といったところか、 3ラウンドはイップマンペースで、 徐々に「チェスで」押していきます。
そして1ラウンドはさんだ第5ラウンド、 遂にイップマンが総一郎を追いこみチェックメイト。 追い詰められる総一郎!
って、チェックメイトって よく考えたら負けじゃん!?(゚Д゚)
が、これはチェスではない… そう、チェスボクシングなのです!
チェックメイトされようが、何しようが、 王の首を討ち取るか、 ボクシングで打ち負かすか、 2択でしか勝負がつかないゲーム! 文字通りの死合いなのだ!
そこで、第5ラウンドに彼が取った作戦は 長 考 。 チェックメイトされたまま、 次のボクシングのラウンドまで粘ります。 背水の陣というか、もうヤケというか…。
5ラウンドが終わり、勝負をかけたボクシング・ラウンド。 ここで総一郎が勝たないと、 次のチェスラウンドで、 王の首を取られて試合終了になってしまいます。
「もう後がないぞ! キメろー!!」 総一郎側のセコンドもストレートな作戦を叫んでいます。 要するに、殴り勝てってことです。 ああ、チェスボクシング万歳! そう、総一郎はここで賭けに出たのだ!
後先を考えない特攻です!
もう後も先も無いんですが!
猛攻をかける総一郎。 それをかわすイップマン。 若さが勝る総一郎は、何発かいいパンチを貰いつつもかまわず前進!
「総一郎!」 「イップマン〜!」
そんな玉砕戦法に、 会場は、いやがおうにも盛り上がります。
まっくのうち! まっくのうち!(違う)
充実した攻防の一瞬のスキをつき、総一郎が攻める! ボディーからアッパー! バランスを崩したイップマンの前で 総一郎は体を揺らし、奇妙なパンチを打ち始めた!
デンプシー・ロールだあァァァ!!!
とか、なんかあればよかったんですが、 やっぱムリだって、そんな大逆転! デンプシーロールは、もちろん嘘な!
どう考えても、 できるワケないじゃないですかァ!ヽ(`Д´)ノ←逆ギレ
んで、試合は第7Rのチェスラウンドに流れ込み… アッサリ投了。
ちなみに総一郎さん、バンザイアタックしてましたけど、 イップマンに上手くさばかれてました。
勝者・イップマン!
試合後、イップマンは勝ち名乗りを受け、 シャンペンを開けて祝福。 ボクシングってシャンパンかぶるもんだっけ・・?? と、微妙な違和感を感じつつ、イベントは終了。 2方とも、お疲れ様でした
そのあとは、もう何がなにやら。 人だかりでワケわかんなくなってたり。
●帰り道 自由が丘の飲み屋で、一杯ひっかけながら今回の総括をする我々。
「うーん、やっぱり、チェスは全然できないけど 腕力むちゃくちゃある人と対戦させたい!」 「チェスで負けてると、ものすごく怒る人! タイソンとか!」 「絶対1ラウンド目でチェス盤ひっくり返すよな!」 「チェスボクシング初の乱闘か!?」
なんて、ハモを炭火であぶりながら討論。 深夜番組で放送したら、ウケそうなスポーツなんだよね。 どっかやらないかねえ? テレ東系列でもいいから。
●参考サイト |
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