コスモスストライカーのすべて―試験対策はこれでバッチリ!―

原作:田中誠一
漫画:戸館新吾

1988年(全2巻)
ジャンプスーパーコミックス


DF!

HIW!

BMS!

BTC!

これらをぱっと見て、『ああ、最初のはマーキュリードライブフォングだよな。』

とかわかっちゃうあなた!

あなたはオカシイ!

おかしいですよ!(断言)

 

ちなみにわからない人へ。

これらはすべてサッカーの競技場で、

プレイヤー(たぶん人じゃない)がボールを蹴っ飛ばしながら発する言葉、

すなわち必殺技です。ホントの意味で。

 

この漫画はそう、サッカーという題材を使って北斗の拳をやろうと思って、

間違って聖闘士星矢まで混ぜて食えない料理を作ってしまった・・・

そんな愛すべき80年代の無駄にアッツイ時代の息吹を伝えてくれる漫画、

『コスモスストライカー』。

今回はそんな漫画の紹介でございます。

 

 

■コスモスストライカー・・・その時代背景。

 

―遠い昔―

天空の神々は、愛と無限の可能性を光り輝く聖なる十字架と円球に、

願いを込めて地上の民に賜ったという・・・・・

この聖なる円球こそ、地上のあらゆる球技のルーツ!

サッカーの誕生を意味するのだ。

 

ページを開くと、ボールと十字架を持った女神が仰々しく描かれ、

それをバックに神話だかなんだか分からない伝説めいたものが淡々と述べられます。

 

そして・・・・時は流れ未来(1992年)。

全世界の国籍を超え人々を熱狂させるサッカーは、あらゆるスポーツ界の頂点を極め、

その人口は地球の総人口の2分の1。

25億人に至ろうとしていた。

 

ほうー、人口の半分か・・・ずいぶん流行ったね・・・・。

って、ちょっと待て。

この流行りっぷりはちょっと異常だ。

 

4人の核家族なら子供は確実にサッカーやってるし、

家族5人の2世帯家族なら、爺さんや婆さんまでサッカーやってそう。

 

もし、こんな世界に『サザエさん』が住んでるとしたら…

カツオとワカメは学校で強制的にサッカーのクラブ員、

マスオさんは『今日は試合があるんだ!』と、ユニフォームで出かけ、

波平はサッカー雑誌を読みながら通勤電車でTOTOの予想。

家で待つフネは、いささかさんの奥さんと朝からサッカーボールを持ってグラウンドで汗を流し、

サザエは母さんに弁当と麦茶を手渡し、そのまま選手交代。

そして、ただ一人家に残されるタラちゃんはTVのサッカー中継でおおはしゃぎし、

イクラちゃんが始めて覚える言葉はバブーじゃなくってボランチ。

 

きっと、そんな夢いっぱいサッカー至上主義世界。

そんな夢世界がコスモスストライカーの舞台なのである・・・・・・たぶん。

 

 

 

■必殺シュートの宴〜やりすぎは毒〜

まずはこの画像を見てほしい。

  HIW!
   
  MDF!!

 

これらはすべてフィールド上で起こっていることである。

決して聖騎士星矢や、ベルセルクの蝕(しょく)が起こっているわけではない。

 

必殺技!

 

そう、これらは必殺技なのだ!キャプテン翼なんて目じゃないぜ!

だってホントの意味で必殺なんだもの・・・

 

そしてこの『必殺技』は、この漫画を一言で片付けることができるくらいの言葉であって、

これを抜いてしまうと、何も残らないくらいの漫画が『コスモスストライカー』なのだ!

すなわち必殺技が実で、その他はリンゴの芯!(言い過ぎ)

 

というのも、主人公や悪の組織の裏設定、そういった諸々の伏線について語られぬまま、

この作品は約1冊に及ぶ試合を展開し、

毎回出てくる必殺技に驚いたりダメージを受けたり立ち上がったりしているうちに、

打ち切りになってしまったからである。

さらに、この漫画は全話通して見ても、単項本にして約1冊半しかないのだ・・・

つまり、この作品は必殺技撃ちっぱなしな展開に陥りまくって、結局打ち切りという、

ある種清々しいくらいなまでの内容が無い作品になってしまったのである。

 

では、これから語られる必殺技の宴と、とりあえず進行していくストーリーを、とくとご覧あれ。

 

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